
おやつは“栄養の足し算”ではなく、気持ちを通わせる道具。上手に使えば、合図が通じやすくなり、日常のメリハリもつきます。ここでは薬機法に触れない生活の工夫として、量とタイミングの考え方をまとめます。
まず、役割をひとつに絞ることから。しつけのごほうびにするのか、来客時の気分転換にするのか、歯みがき後の“おつかれさま”にするのか。目的がぶれると回数も増えがちです。家族でルールを共有し、「この場面でだけ使う」と決めておくとコントロールしやすくなります。
量の考え方は“ごはんが主役”を守ること。おやつを大きくせず、ひと口を小さくして回数でコミュニケーションを取ると、満腹になり過ぎにくく、練習のテンポも保てます。フードの一部をおやつとして使うのも、全体量を整えやすい方法です。与えた分はざっくりメモして、家族間で共有するとベター。
タイミングは“合図→行動→ごほうび→終了合図”が基本の流れ。すぐに渡すことで、何に対するごほうびかが明確になります。散歩の前に興奮しやすい子なら、落ち着けた瞬間に小さく、帰宅後は水を飲んで一息ついてからなど、生活のリズムに寄り添うと理解が進みます。食事の直前にたっぷり与えると、ごはんの魅力が薄れることがあるので注意しましょう。
選び方は、うちの子の食べやすさ第一で。サイズや硬さ、香りの強さが体験を左右します。はじめては少量から試し、食べる勢い・噛み方・うんちのようすを観察。包装は開封後に空気・光・湿気を避け、密閉して冷暗所に。トレーニング用は小分けにしておくと、出し過ぎを防げます。
NGになりやすい場面も共有しておきましょう。要求吠えに根負けして渡す“なだめおやつ”、テーブルからの“人の食べ物のおすそ分け”、ごはん前の“満腹になる量”。どれも一度クセになると戻しにくく、結果としてコミュニケーションが取りにくくなります。出す前に深呼吸、合図をひとつ挟むだけでも流れが整います。
おやつのゴールは、関係づくりを助けること。量もタイミングも「わが家のルール」を決めて、やさしく運用しましょう。迷ったら少なめから。日々の観察メモが、次の一歩のヒントになります。